[2010年12月24日]
ケニアの地質学者へ向けた初のトレーニングプログラムが
豊田通商株式会社により実施されました

前列中央: オグトゥ大使、大使右: 豊田通商株式会社 執行役員 服部氏、大使左: 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 課長 高橋氏
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構より委任され、豊田通商株式会社は、株式会社地球科学総合研究所と協力のもとに、ケニアのエネルギー省、国営石油公社の職員を対象に、地質・物探人材育成支援の2週間にわたる技術研修を行いました。
これは、ケニアのエネルギーセクターの人材育成を目的とした、初めてのトレーニングコースです。この機会は、ケニアにとって絶妙なタイミングで与えられました。なぜなら、発電量の増加とその効果的な供給と利用は、ケニアの発展戦略であるVISION2030において、そのプロジェクトとプログラムの達成に向けて、最重要課題に挙げられています。
このトレーニングプログラムは、日本政府のODA(政府開発援助)政策における民間との協働の強化に従い、官民協働で運営されました。ケニアのVISION2030においても、官民の
パートナーシップ(Public Private Partnership - PPP)が、強調されています。
豊田通商株式会社は、1960年代からケニアでビジネスを始めています。現在では、車両や車の交換部品の輸出入にとどまらず、エネルギー、ロジスティックス、食品/食品加工など、広い分野における投資活動を行っています。
全てのトレーニングプログラムを終えたケニアからの訓練生たちは、修了証を授与されました。修了証授与式には、ケニア共和国大使も臨席しました。
修了証授与式における、大使のスピーチは下記の通りです。
豊田通商株式会社 執行役員 服部 孝 様
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 技術企画部研修課 課長 高橋 衛 様
豊田通商株式会社のスタッフの皆様
トレーニングプログラムの参加者の皆さん
本日は、地質・物探人材育成コースの修了証授与式に、皆さんと一緒に列席できることを非常に嬉しく思います。まず初めに、ケニア政府とケニア国民を代表し、ケニアエネルギー省、国営石油公社からの地質学者と技術者に向けた2週間のトレーニングコースを、株式会社地球科学総合研究所との協力のもとに実施してくださった、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構と豊田通商株式会社に感謝の意を表したいと思います。
株式会社地球科学総合研究所は、このようなトレーニングプログラムの運営に広い知識と経験をお持ちでいらっしゃいます。かつては、これらのトレーニングへは、東南アジア、中東の国からの参加者が中心だったと聞いております。ケニアが、このようなコースにご招待いただいたのは、今回が初めてです。このような素晴らしい機会を与えてくださったことに感謝いたします。また、これはケニアの開発努力への、日本政府の協力と認識しています。しかしながら、このプログラムは、豊田通商株式会社のトレーニングの実施における、強いお力添えがあったからこそ実現しました。
日本は、何年もにわたり、ケニアの開発パートナーであり続けています。現在、ケニアへの開発協力は、経済基盤、農業、健康、環境、人材開発の5つの分野に集中しています。今回、ケニアからの参加者が受講したのは、経済基盤と人材開発に欠かすことのできないエネルギーに関するコースでした。
エネルギーは、ケニアのVISION2030の達成において、極めて重要な分野に位置付けられています。VISION2030は、2030年までにケニアを中所得国にするための経済発展の開発戦略です。実際に、VISION2030の中の開発計画には、エネルギー供給ための需要を増やすことが掲げられています。現在、ケニアのエネルギーに関わる費用は、その競争相手よりも高くなっています。そのため、ケニアはより低い費用でより多くのエネルギーを作り出すという課題を抱えており、さらにエネルギー消費効率を上げなくてはなりません。ケニア政府は、エネルギー分野の制度上の構造改革に取り組んでいます。その中には、体制に対する強い取締り、発電分野への私企業の誘致、そして発電組織と供給組織の分離などが含まれています。ケニアは、必要なエネルギーのほとんどを、石油、水力発電、そしてまき木に頼っています。現在では、地熱、石炭、再生可能なエネルギー、またエネルギー過剰生産国との関係構築などにより、新しいエネルギー源の開発も進めています。
日本がケニア政府の努力を認め、ケニアのエネルギー分野に与えてくれる支援に感謝します。エネルギー分野における日本からの最近の支援は、オルカリアT 4・5号機地熱発電計画です。この計画に日本政府は、約230億4250ケニアシリング(約237億7900万円)の円借款を用意してくれました。また、日本政府はソンドゥ-ミリウ/サンゴロ水力発電計画にも支援をしてくれています。その他にも、交通機関、通信基盤などの主要インフラ開発に、ケニアは何年にもわたり、日本政府からの支援を享受しています。
また、トヨタは、ケニアでのビジネスにおいて長い歴史を持っており、ケニア共和国独立前の1961年からビジネスを始めました。その分野は、車両と車の交換部品、ロジスティックス、総合的な輸出入にとどまらず、豊田通商株式会社はケニアのエネルギー分野にも強い興味を示しています。ケニア政府は、豊田通商株式会社が、大きなマーケットを保有する東アフリカ地域の拠点として、ケニアを位置付けてくださっていることに感謝いたします。このケニア政府の豊田通商株式会社への手厚い支援は、様々な分野へのたくさんの投資家を誘致するための努力として評価されるはずです。ケニアは、風力、太陽光に限らず、様々な発電分野へのさらなる投資を期待しています。他の面白い投資としては、食品、食品加工の分野があります。豊田通商株式会社が、今後もケニアにおいて新しいビジネスを立ち上げ続けることにより、ケニア一国だけでなく地域開発にも寄与していただけるものと信じています。我々は、新しい憲法に掲げられている外国からの直接投資に対して環境整備に努めていきます。
今回のコースガイドを拝見したところ、トレーニングプログラムには、大きく3つの目的がありました。
- 物探活動のための基本技術を参加者に伝授する
- ケニアにおける油田採掘技術向上への貢献
- 人的交流を通した日本とケニアの関係強化への貢献
これら3つの目的に沿って、コースは、物理探鉱、堆積盆解析、フィールドトリップの3つのパートから成り立っています。研修生たちは、様々な分野における知識、高い技術分野における技能と専門性を習得したものと確信しています。また、様々なフォーラムにおける知識の伝授、交流が、学ぶ課程をさらに興味深いものにしたことでしょう。言うまでもなく、フィールドトリップは、研修生たちに直接見る機会を与え、研修生たちは、この分野における日本の発展について深く知ることができたものと想像します。そして、それらは、ケニアの効果的な物理探鉱と発展のために、必要とされている知識なのです。
2国間に発展した永久的な関係は、後世にずっと続くものと信じています。ケニアでは、“Milima na milima haikutani lakini binadamu hukutana”というスワヒリ語のことわざがあります。これは、『山と山は会うことができないが、人間は会うことができる』という意味です。本日の研修生の皆さんがたくさんの人に会って、研修終了の喜びを分かち合うことを希望します。