[2006年3月15日]

マータイさんシンポジウムレポート
2月21日「マータイさんと語るMOTTAINAIと自然保護」

ワンガリ・マータイ ケニア環境副大臣プロフィール

1940年生まれ。生物学者を志し、米国に留学。米ピッツバーグ大学で修士号を取得後、帰国。 71年ナイロビ大学(ケニア)で東アフリカ出身の女性として初の博士号を取得した。 77年に有志と「グリーンベルト運動」(非政府組織)を創設し、植林運動を開始。単なる自然保護運動ではなく、植林を通じて貧しい人々の社会参加の意識を高め、女性の地位向上を含むケニア社会の民主化に結び付けようとした。こうした姿勢は、モイ前大統領の独裁政権時に弾圧の対象とされ、幾度も逮捕された。現在ケニア全土に約1500カ所の苗床を持ち、参加者は女性を中心に約8万人。植林した苗木は3000万本に達し、「植林はケニアの民主化のシンボルになった」という。 02年、得票率98%の圧倒的支持を得て国会議員に当選、03年から現職。 04年ノーベル平和賞を受賞。環境分野の、アフリカ人女性のノーベル平和賞受賞は史上初めて。2005年2月の来日時に日本語の「もったいない」に出合い、地球環境を守る世界共通語として「もったいない」(MOTTAINAI)を世界各地で訴えている。

ケニア環境副大臣ワンガリ・マータイさんは、2006年2月12日から22日まで、全国各地で行われた講演会やシンポジウムに参加しました。テレビや新聞で“もったいない”の言葉とともに紹介されるマータイさんのニュースをご覧になった方も多いことと思います。

2月21日には東京経団連会館国際会議場でフォーラム「マータイさんと語るMOTTAINAIと自然保護」(主催:日本経団連自然保護協議会・毎日新聞社)が開催されました。
シンポジウムは、第一部がマータイさんの講演、第二部が「企業とNGOの自然保護活動の事例報告」として、各事例報告の発言があり、マータイさんとの意見交換も行われました。
第一部のマータイさん講演の内容を要約してご紹介します。

−−−−−−−−−−−−−

第一部:基調講演「MOTTAINAIと自然保護」
    ワンガリ・マータイ ケニア環境副大臣

マータイさんが出会った
“もったいない”という日本語

昨年2月の来日時、「3R(リデュース=ごみ減量、リユース=再使用、リサイクル=再利用)を表現する日本語に“もったいない”という言葉がある」と知ったマータイさん。
その後訪れた京都の清水寺では、森清範貫主(もりせいはんかんす)から「“もったいない”とは、敬意を持って与えられたものを受け取ること」の言葉に感銘を受け、さらに多くの日本人の中に“もったいない”という言葉が根付いていると実感しました。
「環境問題を考える場合、人々の琴線に触れるキーワードが必要」と考えていたときに出会った“もったいない”という言葉に、マータイさんはとてもインパクトを受けました。
「環境問題への意識は、何かによって心が動いたときに“行動をおこす”パワーになるのです。それが“もったいない”の言葉に象徴される“ものを大切にする”精神だと思います」と語りました。

ノーベル平和賞の受賞

世界では現在も草地・農地をめぐる戦い、食糧をめぐる戦い、資源をめぐる戦いがおこっています。戦争が環境に大きな影響を与えていること、そして各国が賢く資源を使っていかなければならないことが説明されました。
2004年、アフリカの女性として初めてノーベル平和賞を受賞したマータイさんですが、環境保護活動は受賞を意識して行っていたわけではありませんでした。「環境問題と平和は密接に関わっており、その結果の受賞だったと思います」と、平和の大切さを訴えました。

日本の立ち位置として望むこと

今回の来日で、小池百合子環境大臣よりペットボトルをリサイクルして作られた“ふろしき”をプレゼントされたマータイさん。「日本にはリサイクルとリユースの素晴らしい技術があります。“ふろしき”は、まさに繰り返し使えるバッグです。また、こうやってスカーフにすることもできます」と、“ふろしき”を自分の肩にかけておどけるマータイさんの姿に、会場からも笑いがこぼれました。
ケニアでも、使い捨てのプラスチック袋によるごみ問題が深刻化しています。「日本の産業界がその技術を活かし、環境問題においてリーダーシップをとっていってほしい」と訴えました。

私達がしなければいけないこと

私達の地球は、人口の増加、環境の破壊など「今までにない体験をしている」とマータイさんは続けます。「今こそ世界が“地球村”としての意識を持つ必要がある」と、その目線を宇宙飛行士の言葉で説明しました。
「彼らは口を揃えて宇宙から見た地球を“国境など見えない土地と青い水”と表現しました。国の枠を超え、環境問題とともに共生することを学び、そこにある資源を共有する選択肢をとることが重要だと思います。違う選択肢を選べば、それは絶滅の道をたどることになるかもしれません」。
昨年の京都議定書の発効により、世界レベルで環境問題を考える土台はできてきたと言われています。しかし「個々の政府が何をするかよりも、一人一人ができることをする、ということが大切。自分たちなりの“もったいない”の意識を行動に移すことが、次の世代の子供たちにチャンスを与える保証になるのです」と講演の最後を力強く締めくくりました。

▲このページのトップへ